多くを語らない10の背中
尽誠学園高(1988~1991)
大阪商業大学(1991~1995)
三菱自動車岡崎(1995~1996)
オリックス・ブルーウェーブ(1997~2004)
オリックス・バファローズ(2005~2006)
読売ジャイアンツ(2007~2013)
オリックス・バファローズ(2014~2015)
2015.10.3
谷佳知 野球選手として最後の日
チームの全体練習終了後、1人静かに姿を現す。
全体練習で参加していない時点でスタメンではないと思いました。
かつて一緒に戦った、福良監督、星野コーチ、ホークス藤井コーチが
見守る中、軽いランニングを始める。
ランニング中に裏方さんが佳知に声をかけ、その度に足を止め握手して談笑。
同期入団の佐竹学コーチのノックを凝視していた。
コーチとして9シーズン目になる。
選手時代からクレバーで冷静沈着で指導者向きな人だと思ってましたが、
佳知はこれだけの成績を残し、野球センスは光っていました。
しかし、落ち込み易く、気持ちにムラがある。
小さく反抗したとか。
「孤高の天才」とも一時期言われ、コーチ向きの性格ではない。
塩崎真コーチは、どっちに向いているかちょっとよくわからないです。
代打で出場ということは1打席限定の引退試合。
1打席で19年間の想いを集約するのは難しいこと。
谷佳知の19年間を知っている人も知らない人も見た人も見てない人も、
この日、ドームに集まったファンの思いは一つです。
自分は、
前記事(未完の記事)で述べたことを3行にまとめて書かせていただきました。
それでも主役を待っている雰囲気は作られていたように感じました。
Take you backが流れる前から大歓声。
歓声でTake you backが聞こえないなんて想像もできなった。
引退するに相応しい、選択肢などない今季の数字。
最後の対戦相手は20歳年下の武田翔太投手。
間違いなく日本球界を代表する投手になるでしょう。もうなってますかね。
ダルビッシュから打ったけどな。」
プラカードとプラカードの隙間から。
19年間の想いを1打席に集約するのは難しいと書きましたが、
突然の代打で初球打ちなんて、
思いが込み上げることもできなかった。
力のない打球がライト前に。
ファンの大歓声がなければ、いつもの初球POPフライだったのかも。
やはり、それよりも目立ってしまったのは佐竹コーチの号泣。
初球打ちで感極まる、審判の判定に激高する、外国人選手と口論する、
佐竹学は情熱の塊であるということを忘れていた。
3人で一つ。
1997年5月の千葉マリンで起こしたセンセーショナルなデビューから、
3人が将来オリックスの象徴になると思ってました。
佐竹、塩崎、両名が託した夢もここで終わる。
また3人が
同じ立場で同じユニフォームを着ているシーズンが訪れることを願っています。
無事に3人が現役を終え、仰木監督も胸を撫で下ろしていることでしょう。
バッティンググローブを握る左手。19年間欠かさず。
これは自身もケガ予防にやっていたイチローが
佳知が元々左手指に不安を抱えることを知って勧めたこと。
2塁に進み、
柿木園悟審判に声をかけられる。
この柿木園審判も今日が引退試合でした。
審判歴35年の58歳のレジェンド。静かにグラウンドを去りました。
1打者のみの守備。
オリックスらしくない粋な計らい。歓声を一身に受ける背番号10
引退セレモニー。
次のミスター・オリックスから花束を受け取る。
「多くを語るタイプの選手ではないので」
今年引退する選手のセレモニーを全部動画で見ましたが、
このセレモニーは1番盛り上がらないというか、あっさりしたものでした。
ファンからのフラッグ贈呈、スポンサーからの花束贈呈がだけあり、
メッセージVTRとかサプライズゲストとか一切なし。
これが派手さを好まない、佳知らしいセレモニーと言えばそうなんでしょうけど。
自分の青春時代にあった背番号10の背中は
多くを語らなくても
たくさんの記憶とメッセージを与えてくれました。
次のオリックスの背番号10は
来る10月22日に指名した将来有望な選手が付けるべき。
この記憶を塗り変えてくれるような選手に。