最後にはさせない勇姿
ドラフトで12人も獲っちゃたら、その分溢れてしまうのは、容易に想像はできた。
血の入れ替え、
世代交代。
短いスパンでそのフレーズを何度聞いたことか。
血が入れ替わっても皮膚が変わらなければ
永遠のサイクルをループするだけ。
駅からの無料シャトルバスが出てたり、
球場内コンコースに店が出てたり、
大勢のマスコミがいたり、
年々注目度が上がっているトライアウト。
総勢47名の所属チームを自由契約になった選手が集いました。
2015 プロ野球12球団合同トライアウト
2015.11.10@静岡草薙球場
それにしてもこのマスコミの多さ。
大田阿斗里 投手(横浜DeNA)
スタンドからの温かい拍手、
響く歓声、鼓舞する声、
林崎遼 選手(埼玉西武)
本人やその家族だけでなく、
その選手のファンにとっても何にも変え難い時間だということは、
スタンド模様を見ていてわかりました。
加藤康介 投手(阪神タイガース)
もしかしたら、これが最後のユニフォーム姿になるかもしれない。
甲子園のヒーロー、
北方悠誠 投手(福岡ソフトバンク)
ドラフト1位、
本当にプロ野球という世界は
極限の未知である。
田上健一 選手(阪神タイガース)
白根尚貴 選手(福岡ソフトバンク)
育成選手契約を蹴って、退路を絶って挑んでいる男の挑戦に、
並々ならぬ覚悟を感じた。
高校No.1投手と言われ同期の西勇輝よりも期待されていたドラフト1位右腕。
柴田健斗 投手
力強いスピードボールがあるのに、無理にサイドにする必要はなかった。
今日のナイスピッチで反応してくれる球団があることを願います。
原大輝 選手
今日も持ち味の強打を魅せてくれました。
ただ捕手としてキャッチング、スローイングの面でミスがあり、
バッティングでそれをカバーできたかどうか・・・。
山本和作 選手
カズサクらしさというか、いつもファームで見ている時と同じような感じだった、
ような。タテの変化球に手を出すのもそうでしたし。
今日だけでカズサクの打席を7打席見たので、お腹一杯というよりも、
さらに寂しさが増しました。
ちょうど半分の投手が投げ終わって、
全員同じ条件で投げて欲しかったですね。本当にかわいそうで。
しかし!その悪条件の中で、参加者の中で最速の146kmをマーク!胸熱!
今日最高のパフォーマンスが出来たからと言って、声が掛かる保証はありませんし、
納得の行くプレーができなくても、声が掛かることもあります。
トライアウトとは「まだオレはやれる!」という意思表示の場。
森内壽春 投手(北海道日本ハム)
その思いが強ければ強いほど、各球団の編成部に届くのかもしれません。
47名から声が掛かるのはほんの数名。
プレーを終え球場を後にする選手たち
山内壮馬 投手(中日)
その背中を寂しそうに見送る長年応援していたファン。
寂しさ以外に残るのは、「これから」よりも「今まで」のことでしょう。
参加選手の中で1番最初にグラウンドに出てきたのはこの2投手でした。
マウンドの感触を確認。
同学年で仲の良い2人。ランニングも、キャッチボールも揃って行う。
榊原諒 投手
今年5月の右肘の手術し、球威も球速も戻らないままの非情な戦力外通告。
もちろん、今日もかつてのキレを見ることができませんでした。
それでも最後は笑顔でマウンドを降りる。
前田祐二 投手
まだ信じたくない戦力外通告。
本人はいつも通り、表情一つ変えることなく投げる。
華奢な身体から繰り出されるボールは今日も右打者のインローをえぐる。
最後はチームメイト・ハラダイとの対戦でレフトフライ。
投げ終わりポーカーフェイスが崩れました。
少なからず特別な想いを乗せた左腕の最後のBsユニフォーム姿を、
目に焼き付けることが静岡に来た最大の目的。
わずか5シーズン。
オリックス・バファローズに人生を狂わされたのか、
それとも救われたのか。
それはまだわからない。
2人仲良く、関西への岐路の途へ。
まだやれる。