壮途に就く
何度も来ても変わり映えのしない景色により、得られる安心感。
高知市東部球場の秋季。
しかし、今秋は変わり映えしない景色の中に、その男は居た。
「オリックス田口監督」
というフレーズに長年待ち望んでいたファンはたくさんいる。
久々のBsユニフォームを姿に喜ぶ周囲に反し
本人は終始厳しい表情で情報収集に余念がない様子。
ノートは常に携帯。
選手個々、チーム形態、先輩コーチ陣の指導方向、それだけでなく、
指導者としては新人。指導の仕方も未知な部分はたくさんあるでしょう。
ブルペンへ。
2軍の若手選手の球筋を黙って見つめる。
来季2年目を迎える高卒ルーキーにロックオン。
同じくオリックスに復帰した酒井勉1軍投手コーチと話を交えながら見る。
指導の仕方等も教わっていたのでしょう。
ブルペンからメイン球場への移動中も険しい顔つきノートを見直し、
頭の中で新たな発見の確認作業中。
ここにはいなかった。
再びメイン球場へ。
1年間共に戦う竜太郎2軍打撃コーチと共に
選手たちのフリー打撃を見守る。
情報収集とコーチ陣とのコミュニケーションを積極的に図る作業で
田口監督の1日は終わりました。
ただ奥浪くんの体型は気になっているご様子でした。
そのストレスから「突発性難聴」を発症した。
それを助けてくれたのは同僚の先輩たち。
何度も食事に誘われ、酒の席で悩みを聞いてもらった。
「全部、自分の中で抱えた時期もあった。それでも、
こっちが申し訳なく思うほど、多くの人が助けてくれた」
(2011年4月 読売新聞 紙面記事より)
その「助けてくれた先輩」の中の1人が
と言われたら断れるわけもない。
決してファンのために帰って来たのではない。
福良監督を男にするため。
でも、それがファンのためになるんです。
田口監督が底からオリックス・バファローズを変えてくれることに
大きく期待しております。
もちろん2軍監督がゴールではなく、これが本当の第1歩を踏み出した所。
田口壮、ついに壮途に就く、再び空を駆け抜ける。